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−お父さんは平安に入ったことを喜ばれたんじゃないですか?
親父もそうですが、おじいちゃんが喜んでくれました。僕は親父とおじいちゃん、おばあちゃんの4人で暮らしていたんですが、おじいちゃんも親父と同じ野球好きでしたから。
そのおじいちゃんなんですが、実は平安グラウンドで死んじゃったんです。僕が入学してすぐの春季大会を見に来てくれてたんですが、心臓発作を起こしてバックネット裏で倒れてしまって、そのまま亡くなってしまいました。
−平安の練習はどうでしたか?
もう地獄でしたね。初日からグラウンドを100周走らされました。今は部員数も少なくなったみたいですが、僕が入学した時にはまだたくさんの部員がいて、それを振り落としていくという厳しい練習でした。
−原田監督は厳しかったですか?
野球に対してはもちろんですが、それ以上に生活面の方でよく叱られました。とにかくいい加減なことが嫌いな人で、グラウンド整備、お茶の沸かし方、スパイクの磨き方まで細かく指導されました。敬語の使い方を間違っても叱られましたね。
−印象に残っている練習はありますか?
やはり守備練習ですね。平安は網なしと呼ばれるグローブが伝統的にあるんですが、網がないもんだから、右手を網代わりに添えてボールを捕るんです。そうしたら痛いから今度はボールが投げられないじゃないですか。それで暴投すれば怒られて、今度はグローブを外せと言われて素手でノックを受けないといけない。辛かったですが、確かにあの練習でボールに対する恐怖心はなくなりましたね。
あと、2年の時だったと思うんですが、夕方からの練習で、最初から最後までずっとノックを受けたこともありました。3時間半、ずっとノックを受けっ放しで、僕らもしんどかったですが、あれは打つ方も大変だろうなと思いました。
−その練習の甲斐があって、3年の春には選抜大会に出場しました。甲子園の印象は?
高校野球はあまり見なかったんですが、漫画の「タッチ」を見て、甲子園には憧れてたんです。だから初めてグラウンドに立った時は、気持ちが昂ぶって鳥肌が立ちました。テレビで見ているよりも、ずっと大きいと感じました。
−選抜大会では1回戦が星稜、2回戦が日南学園と強豪を破ってベスト8に進出しました。
やはり1回戦で負けて帰れないだろうという気持ちがあって、何としてでも勝とうという思いがありました。あのチームは、俺が、俺がという選手が多かったんですが、そのチームが勝つためにひとつにまとまったという気がしました。
−そして準々決勝で報徳学園戦を迎えるわけですが、初回に手痛いエラーを2つ犯してしまいました。結果的にはあのエラーが敗因になってしまいましたね。
あの日は朝から雨が降っていて、凄く長い時間待たされて、中止だろうとも言われてたから、それで気持ちが切れた部分もありました。グラウンドも田んぼ状態で、1つ目のゴロをエラーしてしまって、それで焦ってしまったこともあって、2つ目のエラーはあまり覚えていないです。
−あんな時はベンチに帰ってから何を言われるんですか?
試合中はあまり何も言われないです。気持ちを切り替えていけと言われるぐらいで。帰ってからはしごかれますけど。でもネチネチではなくて、ずばっと言われて、それでいて負けは絶対に選手の責任にしない人ですから、余計に頑張らないといけないとは思いました。あの苦い経験をして、選抜から帰ってからは徹底的に守備を練習しました。あれで守備に関しては一皮剥けたんじゃないかなと思います。
−そして夏も甲子園に出場して、今年、阪神で大活躍した藤川球児の高知商に勝つなどして快進撃しました。
藤川は立ち上がりを攻めて、それで逃げ切ったんですが、やはり高校までで対戦した中では一番速いと感じた投手でした。でもあの甲子園では、負ける気がしないというか、打たれる気が全くしなかったです。川口のスライダーが凄く切れていて、バンドさえもされるとは思わなかったですから。まともにバンドを決められたのは決勝戦の智弁和歌山ぐらいじゃないですか。
−決勝戦では惜しくもその智弁和歌山に敗れましたが、見事、準優勝に輝きました。平安での3年間を終えてどんな気持ちでした?
僕の人間の基礎を作ってくれたのも高校時代だと思いますし、もちろん野球に関しての基礎を作ってくれたのも平安野球部でした。3年間、基礎の大切さを徹底的に教えられました。派手なプレーはいらないんだ、ファインプレーはいらないんだ、難しいゴロを簡単に捕るのが本当のファインプレーなんだと教えられたことは、今の僕の礎になっているとは思います。
−原田監督から言われたことで、一番、印象に残っている言葉はありますか?
僕は3年間、色々なことを言われ続けてきたので印象に残る言葉はたくさんありますが、その中でひとつと言われれば、継続という言葉です。継続することが大切なんだ、継続することが力になるんだという言葉は強く印象に残っています。
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