−久御山や西城陽が好成績を残せる要因のひとつにV類・体育科の存在が大きいと思われている人が多いようです。他校の保護者の中には、久御山、西城陽の野球部といえばほとんどがV類の生徒だと思われている人もいます。

円山 なるほど。正確に言うと体育科ではなくて、正式名は普通科体育コースです。V類は普通科なんですよ。体育科というと、それこそ体育の授業や野球ばかりしているように思われるかもしれませんが、普通科ですから他の生徒と同じ授業を受けます。その中で体育コースの生徒たちは週に2時間だけ体育の時間が多いというだけです。
久御山、西城陽の他には鳥羽にもV類がありますし、これはあまり知られていませんが、北嵯峨にはT類の中に体育コースがあります。
体育コースの生徒は通学出来る範囲が広くはなりますが、それでも1学年に1クラスで40名しかいない。半分が女子生徒で残り20名ですが、他のクラブの生徒たちもいる。だから思われているほどにV類の影響力が強いということもないんですよ。現在の久御山だと3年生6人、2年生6人、1年生8人がV類の生徒になります。

南條 西城陽は3年生3人、2年生5人、1年生2人です。それにV類の生徒が必ずレギュラーを取っているかといえばそうではなくて、3年生だと3人のうちでレギュラーは1人だけです。逆に、土屋(京大)に代表されるようにU類(特進コース)の生徒の中から毎年1人はレギュラーになる生徒が出てきますね。

円山 3年間、普通科でスムーズに勉強できる学力プラス一定以上の体力というものが求められますから、V類の生徒はある意味より厳しいという見方もできます。

−ということはV類とT、U類の違いというのはほとんどないと言ってもいいわけですか?

円山 あるとするならば、V類の生徒は専攻実技の中で、剣道部の生徒は剣道、陸上部の生徒は陸上をするという授業が週に2時間あります。これが3年間積み重なれば、他の生徒から見れば大きな差にはなるのかもしれません。

南條 でもうちの新チームだと1,2年生合わせて7人しかいないわけですから、専攻実技と言っても、その人数だとチームプレーの練習もできないわけです。もうほとんど自主練習の世界ですよね。だからV類だから得をしているという事はほとんどないですね。


−公立の野球部で選手をスカウティングするということはあるわけですか?

南條 僕は全くしていないですね。指導もほとんど1人でしていますので、現役の選手たちを放っておいて中学生の生徒たちを見に行くという時間がまずありません。

円山 僕も基本的にはスカウトはしません。ただ、「こういう生徒で久御山で野球がしたいという子供がいます」という話を貰った時は、見に行く事はあります。でもだからと言って公立ですから、必ず入学できますとは言えないわけです。頑張って受験を通ってくださいとしか言えないんですよね。

南條 僕も相談を受けた時には頑張ってくださいとしか言えません。それが保護者には心配なんでしょうね。少しでも早く進路を決めたいという気持ちが保護者にはありますので、私学の方に進まれるケースがよくありますね。

−野球留学に関してはどのように感じておられますか?

円山 僕はいい事だと思います。自分の行きたいチームに行って、野球に情熱を燃やす、全力をぶつけるということは素晴らしいことだと思います。ただメリットもあればデメリットもあるという事は知っておかないとだめでしょうね。

南條 僕も悪い事だとは思いません。でも中には野球だけをしていればいいといった感じが見受けられる事もあります。それはどうなのかなと思います。甲子園を目指す、高校野球が終わる、それから生徒たちは世の中に出て行くわけです。プロに行ける子はいいんですよ。でもほとんどはそうではないわけです。野球だけではなくて、社会に出た時に頑張っていけるだけの力を身につけさせる事が教師として大切な仕事であると僕は考えています。