2003年12月14日 福知山成美高校

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時間は朝の8時30分。家を出たのが6時間30分。2時間をかけて100キロの道を走って福知山成美に到着した。車中の気温計は3度となっている。外に出ると、やはり空気が冷たい。

「成美学苑」の看板がかかる校門をくぐるとすぐ目の前にグランドがあった。練習開始は9時から。選手たちはすでにグランドに集まってきている。田所監督はベンチの中にいた。
「こっちは寒いでしょう。ストーブはどこだったかな?」
と人懐っこい笑顔で出迎えてくれた。

アップが始まった。選手たちのつくる列が長い。部員数は70人を超える。そのうちの約半数が寮で生活しているという。
「寮生に多いポジションというのがあるんですよ。寮生が寮の掃除で練習に出られなかった時、セカンドを守る選手が1人しかいなかった。それで寮生には二塁手が多いということに気がつきました」
田所監督の話は面白い。

ノックが始まる。各ポジションに5、6人の選手が並ぶ。その中でも、どうしてもショートを守る松田選手に目がいってしまう。まだ1年生。先輩・大原選手のようにスケールの大きな選手に育って欲しいものだ。
外野の後方では投手陣が別メニューでサーキットトレーニングをしている。その数は20名を超える。他のチームからすれば羨ましい限りだが、それだけチーム内の競争は激しいということでもある。投手陣を預かるのが島本コーチ。
「この中から夏へ向けてグーンと伸びてくれる子が出てきてくれたらいいんですけどね。旧チームの楠みたいにね」
エースの芦田投手のことを聞いてみた。秋の京都外大西戦では機動力を使われて攻略された。
「癖があることもフォームが大きいことも分かっていました。でも秋の段階ではそれを気にして自分のボールが投げられない事の方が怖かった。芦田みたいに体の大きい子を育てるのははじめてなんですよ。今までは安達みたいに体の小さい子ばかりでしたから。まあ、体のように大きく成長してもらいたいですね」

10時20分からはフリーバッティングが始まる。野手全員が打席に入るため、1人に割り当てられる時間はほんの僅かしかない。
福知山成美といえば、やはりパワー溢れるバッティングというイメージがある。今チームのバッティングを田所監督はどう見ているのだろう。
「何人かはいい形になってきている選手がいます。まだ過去のチームと比べるとその人数は少ないですが、これから伸びてくれる事を期待しています。こうやって全員に打たせてその可能性のある選手を探してるんですよ」
時間が経つにつれて気温も高くなってきた。天気もよく選手たちの練習を見ていると気持ちがいい。
「今日は天気がよくなって良かったです。実はバッティングをするのは久しぶりなんですよ。雪はまだですが、天気がしぐれてグランドが荒れるとバッティングはできない。ボールが痛みますからね。恐らくこれが今年最後のバッティングになるでしょう」

日曜日ということもあってか、練習を見に来る人が何人もいる。その中にはお母さんに連れられた中学生の姿もあった。
すっかりと強豪のイメージが定着した福知山成美。地元にとっては自慢のチームであり、子供たちにとっては憧れのチームでもあるのだろう。

練習の最後はベースランニングで締められる。ただのベースランニングではない。まずホームから二塁ベースまでのタイムを田所監督と井本コーチが計測する。
「自分らで2回の平均タイムを暗算しろよ」
「3回じゃなくていいんですか?」
選手たちの問いに、田所監督が答える。
「お前らの頭だったら暗算で3回の平均なんて出せないだろ」

出した平均タイムで2つのチームが編成される。ホームからスタートして二塁ベースまで走るチームと二塁ベースからスタートしてホームまで走るチーム。2人ずつが同時にスタートしてその勝敗を競う。勝ったチームは練習が終了。負けたチームは更にベースランニングが続く。今度はホームから三塁ベースに走るチームと一塁からホームまで走るチームの対戦だ。
「単純で苦しい練習をいかに楽しく出来るか色々と工夫してやってます」
と島本コーチが教えてくれた。
勝ったチームにガッツポーズが出る。
「お先!!」
負けたチームはまた新たな勝負が待っている。そうして最後まで残った2人には10キロの罰ゲームが待っていた。

練習の後、田所監督にインタビュー。終わって帰ろうとすると田所監督が一言。
「平安は練習してるに決まってるけど、帰りに京都成章が練習してるかどうかだけ見てきてください」
やはり田所監督は面白い。
 


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